会社を設立する際、株式会社がよいか合同会社がよいかということで迷われると思います。そこで株式会社と合同会社の違いをまとめてみました。
1.会社形態の分類
その前に、会社の種類を調べるとその他の会社名が出てきて、それらはダメなの?と疑問を持たれるかもしれないので、それらについて先に説明しておきます。
①合名会社・合資会社
合同会社と似た会社として合名会社と合資会社というものがあります。この合同会社・合名会社・合資会社は株式会社と違い持分会社といいます。
3つの持分会社の相違点としては社員の構成の違いがあげられます。具体的には合同会社は有限責任社員のみで構成、合資会社については有限責任社員と無限責任社員がそれぞれ最低1人ずついる構成、そして合名会社は全て無限責任社員で構成されています。
上記のことから合名会社、合資会社は合同会社と比べて圧倒的に設立件数が少ないです。というのは、この二つの会社は無限責任を負う社員が必要となるため、先行きが分からない新設会社を作るのはリスクがあるためです。無限責任とは万一会社が倒産した場合に、出資者が出資した金額の範囲を超えて債務を弁済する責任を負うことを意味します。
②有限会社
有限会社は今でもたくさん存在しますが、実は新たに作られている有限会社は存在しません。なぜかというと2006年の会社法改正前の会社形態は株式会社、有限会社、合資会社、合名会社の4種類だったのですが、改正後は有限会社が株式会社と統合され、新たに合同会社が新設されことにより、株式会社、合資会社、合名会社、合同会社の4種類に変更されました。ただし、この改正前から存在する有限会社についてはそのまま特例有限会社として存続が可能であることから、いまだに有限会社が存在するというわけです。
2.株式会社と合同会社
では改めて株式会社と合同会社を比較していきましょう。合同会社は上記の通り持分会社に分類されます。株式会社と持分会社の違いの大きな特徴として、株式会社が所有者である株主と経営が別であるのに対し、持分会社は所有者と経営が分離されておらず、所有者が経営を行うことになります。そのため合同会社は株式会社のように株主総会や取締役会が存在しません。
その他様々な違いはありますが、なぜ一般的な株式会社ではなく合同会社を選ぶ経営者が増えているのでしょうか。それは合同会社のほうが設立費用が安く上がることが大きな要因です。設立に当たり、株式会社については公証役場での定款認証が必要となるため、5万円程度の費用がかかりますが、合同会社では定款認証は不要です。また設立登記にかかる登録免許税については、株式会社については15万円は必要となりますが、合同会社は6万円で済みます。
これらの設立費用を比較すると、株式会社より合同会社の方が約14万円安く設立することができます。その他、決算公告が不要であること、役員の任期がないことなどがメリットとして挙げられます。ただし、やはり一般的に会社といえば株式会社をイメージされることが多いため、合同会社は認知度が低く、結果的に株式会社のほうが信頼度が高く見られがちです。もちろん実際にはアップルジャパンなど大手企業でも合同会社であるとおり、合同会社だから信頼度が低いというわけではございません。
上記をまとめるとこのようになります
株式会社 | 合同会社 | |
出資と経営 | 分離 | 一致 |
決算公告 | 必要 | 不要 |
役員の任期 | 最長10年(役員改選の義務あり) | なし |
社会的認知度 | 高い | 低い |
3.結論
株式会社より合同会社を選ぶメリットは何をおいても設立費用ということになります。設立時には様々な費用がかかりますので、設立費用を安く抑えたいというのは重要なポイントではないでしょうか。逆に合同会社より株式会社を選ぶメリットは信用度の高さになります。合同会社はまだまだ認知度が低いため、取引をする相手方から信用度を低く見られてしまう可能性があります。会社によって、個人事業主とは取引をしないという会社があるように、中には合同会社とは取引をしないという会社も存在します。この点、近年合同会社の設立数も増えてきており、将来的にはもっと認知度・信頼度が上がってくるとは思いますが、現時点ではまだまだということになります。つまり、会社を立ち上げたいけど、お金があまりかけられない方は合同会社を、将来会社を大きくしていきたいと考えている方は株式会社の設立をオススメします。